発注目線でWeb制作スクール卒に依頼できない理由

こんにちは!

今回は仕事を発注する側の目線で、「Web制作スクール卒の方に依頼しにくい理由」をお話ししたいと思います。

ここではレベル感を明確化するため、あえてタイトルに「Web制作スクール卒」と表記していますが、初学者や実務経験が少ない方も同様に考えていただければと思います。


さて、早速本題に入りますが、
私自身クライアント都合でスケジュールがタイトになってしまった際にクラウドソーシング(クラウドワークスやランサーズ)を利用することがあります。

募集をかけると必ずといって良いほどWeb制作スクール卒の方からの応募もありますが、正直なところ、実務経験が少なく「Web制作スクール卒」と書いてある方には、ここ最近は依頼をお断りすることが多くなりました。

「なぜスクール卒の人に依頼しづらいのか?」

最初の頃はスクール卒であることをさほど気にせず仕事をお任せしていました。やり取りが丁寧でモチベーションが高い方も多かったので、「基礎さえ押さえていれば問題ないっしょ」と、わりと軽い気持ちで依頼していました。

ところが、スクール卒の方なら期待以上のものを作ってくれるかもと感じていたのとは裏腹に、初めて依頼した成果物は正直微妙な仕上がりでした。結局、自分が最初からやり直す羽目に…。

「次こそは大丈夫だろう」と別の人に依頼してみても、結果は同じ。

その後、何名かの方にお願いしてみたものの、やはり満足いく納品物が上がってくることはありませんでした。

こうした依頼を重ねるうちに、スクール卒の方がコーディングで陥りがちな“致命的なパターン”がだんだんと見えてきたのです。

今回は、その理由を具体的に解説していきたいと思います!


目次


1. ポートフォリオサイトが複数あっても、どれも1ページのみ

これはスクール卒業制作時に作成したものが多いのでしょうか。
各スクールごとに制作物のデザインが重複しているケースが多く、それ自体もなんだかなぁと思う部分はありますが、それ以外に実務としては致命的に欠けている点があります。

まず一つ目は、ほとんどのポートフォリオサイトが「1サイト1ページのみ」しか作成していないということです。

実務ではLP(ランディングページ)以外で、たった1ページだけで完結するサイトというのは比較的まれです。

従って、いざ複数ページにわたるコーディングを頼むと、重複コードが多く、もっとユーティリティクラス(1つのクラスで1つのデザインを表現)でまとめて欲しいなぁと思うことが多々ありました。

また同じデザインの要素が複数ページにあった場合でも「同じ構造のコードを共通化して使い回す」という効率的・合理的な書き方をしていないケースがほとんどでした。

これはプログラミング学習するとOAOO原則という「同じコードを繰り返し書くな」という原則に反した書き方になります。

確かにHTMLやCSSの分野ではこの言葉が出てくる事はあまりなく、スクールでも教わることがないのかも知れませんが、HTMLやCSSでも大切にすべき考え方です。

2. レスポンシブ化がぎこちない

こちらは「1. ポートフォリオサイトが複数あっても、どれも1ページのみ」で挙げた問題と通じる部分があります。

ページ単位でコードが独立していると、レスポンシブ対応もページごとに個別で行わなければならず、手間が増えるうえにデザインの整合性を保つのが難しくなりがちです。

一方、デザインパーツごとにコードを共通化していれば、仮に10ページに同じパーツを使用していても、1つのパーツをレスポンシブ化するだけで全ページに反映できます。

しかし、多くのスクールでは複数ページにわたるコーディングの訓練が不足しているようで、実務でいざ多ページサイトを担当すると、ぶっつけ本番で各ページごとにレスポンシブ対応する羽目になります。

当然、コード量も増えて途中で息切れしてしまい、フォントサイズや余白などの微調整が行き届かず、結果として「レスポンシブ化がぎこちない」印象を与えてしまうようです。

3. クラス名が雑

これは初心者に限らず、中級者以上でも悩むことが多いポイントですね。

ここで言う「クラス名が雑」というのはBEMといった命名規則の話ではなく、.aaa.testtest.gudagudaのようにデザインやサイト内容と無関係な名前を付けてしまうパターンです。

一度作ったサイトをずっと自分一人が保守するなら問題ないかもしれませんが、他のエンジニアが触る可能性がある場合は恥ずかしくないように意味のあるクラス名を心がけたいところです。

最近ではChatGPTにスクショを見せながら「この要素のクラス名を考えてください」とお願いすると、それっぽい名前を提案してくれるので、積極的にAIツールも活用してみましょう。

4. コード量が多い

これも「1. ポートフォリオサイトが複数あっても、どれも1ページのみ」の問題に通じる部分ですが、CSSの知識不足によって不要にコードが膨れ上がっているケースも目立ちます。

たとえば「1行目は画像・テキスト、2行目はテキスト・画像」というジグザグ配置を繰り返すとき、orderプロパティを使えばシンプルに表現できます。

しかしこれを知らないと、gridやflexだけでゴリ押しし、多くの記述が必要になってしまうこともあります。

結果的に表現ができれば問題ないケースがほとんどですが、プログラミングの世界では「コード量は少ないほど正義」という考えが基本にあるので、常に「もっと楽な書き方はないかな?」とアンテナを張っておきたいですね。

5. デザイン感覚がない

最後のポイントが、実は一番重要かもしれません。

制作現場では必ずしもPC・スマホ両方のデザインデータが用意されるわけではなく、コーダー自身の裁量でレスポンシブ化を行うことがしばしばあります。

このとき、フォントサイズや余白の取り方、要素の並び替えなどをコーダーがデザイン的にセンスよく調整しないと、修正の嵐になってしまいます。

恐らくスクールではPC以外のデザインデータも提供され、それを参考にコーディングを進めていきますので、ある程度デザインの勉強も進めておかないと、実務では太刀打ちができません。

デザイン感覚は一朝一夕に身につくものではありませんが、日頃から「このサイト、スマホだとどんなデザイン?」「フォントサイズや行間、余白はどれくらい?」と観察するクセをつけると、徐々に見えてくるものがあります。


まとめ

以上が、発注目線で特に「Web制作スクール卒」の方のコーディングで実務的に足りていないスキルだと感じる部分でした!

どれも一朝一夕では身につけることが難しいものばかりですので、常に「もっといい書き方はないかな?」と疑問を持ちながら、自分なりの学習法や小さな工夫を積み重ねていってください!